私刑の虚しさ

海外におけるリンチの残酷さを他人事と思ってる日本人も多いんじゃないだろうか?

「日本は大丈夫」

本当にそうかな?

リアルでボコボコにされることはないにしても、ネット空間ではどうかな?
ネット弁慶の存在を考えると、その辺が見えてくる筈だ。

リアルでは弱気なA君。いじめられてる人がいても助けることができない。
しかしネットでは「いじめは絶対許さない!社会的制裁を与えてやる!」と正義感に駆られて暴走してしまう。

そういう日本人は沢山いるし、だからこそネット私刑は問題なんだ。

大津いじめ事件だって、ド素人が好き勝手暴れたせいで無関係な人まで巻き込まれる事態になってしまった。

にも拘わらず、私刑の執行者たちは反省しない。自分達が悪であるという自覚を持っていないから。

「悪いのは加害者。加害者を裁くために頑張った我々は悪くない!」と思い込んで疑わない。
異論を唱えた者に対しては「正義の味方であるこの私に逆らうのか!貴様は悪魔だ!」と牙を剥く。

典型的な困ったちゃんだ。

「常識」とか「普通」とかいう問題ではない。それ以前の問題だ。

法による支配を否定して自分勝手な正義を押し通すなんてのは狂ってる。

カッコいいと思っているならやめた方がいい。ダークヒーローなんかになれる器じゃあないから。

この世界を悩ませる問題について、綺麗事では何も解決しない。

正義は法以外にない。

おかしいと思うならなぜ法を変えようという努力をしない?

本当はストレスをぶつけるために「悪」を見つけて袋叩きにしたいだけなのか?

いじめは許せないけど法を変えるほどの度胸がないのか?

理由は様々だろう。

しかし、どれも正当化する理由にはならない。

私刑は悪であり、そこに正義はない。
微塵の正しさもないし、微塵の同乗もしない。
「絶対的」な悪だ。

たとえ法が悪であろうとも、それは君たちの民意が望んだことじゃあないか。

法を変えるも変えないも、君たちだけだ。

悪だというなら変えればいい。

それに、私刑の執行者たちが裁かれないのは、法が腐っているからだ。

(もちろん、「法が腐っているから」というのは、私刑執行者たちの理屈で言うなら…の話だが。)

やり方を間違えている人間は、たとえどんなに努力しても評価されない。
評価してくれるのは同じ温室育ちの人間だけだ。